企業や団体がニュース性やトレンド感のある情報を発信し、メディアに取り上げられる機会を増やすために活用されるプレスリリース。

中でも、独自のアンケート調査や統計データをもとに作成される「調査リリース」は、客観的な根拠に基づいた情報発信によって、世の中の関心を集めやすい手法として注目されています。

今回の記事では、調査リリースの目的・効果や、実際にアンケート調査を実施し、プレスリリースとして発信するまでの流れを詳しく解説します。

これから調査リリースの活用を検討している広報担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

プレスリリースの調査リリースとは？

プレスリリースの調査リリースとは、企業や団体が独自に実施したアンケート調査や統計データをもとに作成するプレスリリースのことです。

単なる商品やサービスの紹介ではなく、客観的なデータを活用することで信頼性が高まり、メディア関係者や一般消費者の関心を集めやすいという特徴があります。

調査リリースは、社会のトレンドや消費者の意識などを具体的な数値で示すため、話題性が生まれやすく、広報活動において効果的な情報発信手段だと言えるでしょう。

調査リリースのメリット

調査リリースは、単に情報を発信するだけでなく、企業にさまざまな価値をもたらす広報手段です。
ここでは、調査リリースを活用することで得られる具体的なメリットを紹介します。

企業の認知度の向上

調査リリースは、企業が独自に収集したデータや調査結果をもとに発信される情報です。
そのため、ニュース性や話題性が高く、メディアやSNSなどで取り上げられやすい傾向があります。

特に社会的関心の高いテーマやトレンドに合った内容であれば、多くの人々の目に触れる機会が増え、効率的に企業の認知度を高められる点が大きなメリットです。

広告費を抑えつつ、信頼性のある情報として広まるため、新規顧客の獲得にも大きく役立ちます。

企業ブランドの向上

客観的なデータを活用して情報発信する調査リリースは、企業の専門性や信頼性を強く印象づけることができます。
単なる宣伝ではなく、実際の数値を示すことで、より説得力のある情報を伝えられる点が大きな強みです。

こうした発信を通じて、企業が社会の動向を把握し、積極的に情報発信に取り組んでいる姿勢をアピールできるため、ブランド価値の向上にもつながるでしょう。

プレゼン資料として活用できる

調査リリースで得られたデータは、社外向けの広報だけでなく、社内の会議や営業、企画提案の場でも非常に有効です。

市場動向や顧客ニーズを具体的な数値で示すことで、社内の意思決定を後押しし、説得力のある資料作成に役立ちます。

さらに、クライアントやパートナー企業へのプレゼンテーションにも活用でき、具体的な根拠を示すことで提案の信頼性を高めることができる点もメリットのひとつです。

調査リリース作成のポイント

調査リリースは、データの正確さだけでなく、それをどう伝えるかも非常に重要です。
どれだけ有益な調査結果があっても、伝え方次第ではメディアに取り上げられる可能性は低くなってしまいます。

メディア関係者や一般消費者の関心を引くためにも、作成時に意識しておきたいポイントをしっかり押さえましょう。

ここでは、調査リリースを作成する際の基本的なポイントを解説します。

興味を引くタイトル

タイトルは、調査リリース全体の印象を左右する非常に重要なポイントです。
ニュース性やトレンド感のあるキーワードを盛り込み、読み手の関心を引くことを意識しましょう。

また、「〇％の顧客が満足と回答」「リピート率〇〇％」「累計売上〇〇個」といった具体的な数値を入れると、さらに効果的です。

タイトル次第でメディア掲載の可否が左右されることもあるため、慎重に検討し、効果的な表現を追求しましょう。

簡潔なリード文

リード文は、調査リリースの冒頭で読み手に内容を伝える重要なパートです。

タイトルに興味を持って記事を読み始めた人が、その後も読み進めるかどうかを決めるポイントになるため、誰に向けてどのような調査を行い、何がわかったのかを簡潔にまとめましょう。

リード文では、全体の理解がスムーズになるように心がけ、詳細なデータや情報は本文でしっかり解説すれば問題ありません。

まずは、読み手に「読む価値がある」と感じてもらえるよう、簡潔かつ明確に伝えることが大切です。

調査背景を明記

調査を実施した背景や目的を明記することは、記事に信頼性や説得力を持たせる上で非常に重要です。

なぜこのテーマを選び、調査を行ったのかを具体的に示すことで、単なるデータの羅列ではなく、社会的な意義や必要性が伝わります。

また、現在の社会的背景やトレンドと関連付けることで、メディア関係者や一般消費者の関心をより一層引きやすくなるでしょう。

このように、調査の背景を丁寧に説明することで全体の説得力を高め、情報の価値を効果的に伝えるポイントとなります。

調査結果をもとにグラフを作成

調査結果は文章だけで伝えるよりも、視覚的に見せることで読み手の理解度が大きく向上します。
棒グラフや円グラフ、ランキングなどを活用して、結果を一目で把握できるよう工夫しましょう。

グラフは情報を効率的に伝えるための手段であるため、見やすさと正確さのバランスを意識することが重要です。

調査リリース配信までの流れ

調査リリースを効果的に発信するためには、配信までの流れをしっかり把握し、それぞれの工程を丁寧に進めることが重要です。

企画の段階で目的やターゲットを明確にし、調査実施、結果分析、資料作成を経て、最適なタイミングで配信しましょう。

ここでは、調査リリース配信までの具体的な流れを解説します。

1.企画を考える

調査リリースを作成する際の第一歩は、企画の立案です。

まずは「どのようなテーマで調査を行うのか」「ターゲットは誰か」「どんな情報を伝えたいのか」を明確にしましょう。

この段階で調査の目的や期待する効果を整理しておくことで、調査全体の方向性がぶれず、説得力のあるリリースにつながります。

2.調査方法を決める

企画によって調査の方向性が定まったら、次は調査方法を決定します。

Web調査、電話調査、郵送調査、街頭調査、会場調査など、さまざまな方法の中から、目的や予算、対象者に応じて最適な方法を選びましょう。

調査方法は、データの精度や回収率に大きく影響するため、慎重に検討することが重要です。

3.調査票を作成する

調査票とは、自社の商品やサービス、関連するテーマについてアンケート調査を行う際に作成される質問の一覧表のことを指します。

調査票は、調査の質を大きく左右する重要な要素であり、記事全体の信頼性を高めるためにも、丁寧に作成することが不可欠です。

質問はシンプルかつ明確にし、回答者が無理なく答えられる構成を意識しましょう。
選択肢や自由記述などの回答形式は、調査の目的に応じて適切に設計することが重要です。

4.アンケート調査の実施

作成した調査票に基づいて、実際のアンケートを実施します。
調査方法は、事前に選んだオンラインや会場型などの形式に沿って進めましょう。

実施にあたっては、回答者の年齢や性別、居住地域といった属性を確認しながらデータを収集することで、より信頼性の高い結果が得られます。

また、十分な回答数が集まらない場合は、リマインドメールを送る、調査対象を拡大するなど、必要に応じた対応を検討することも重要です。

こうした工夫を行うことで、回収率を高め、調査内容に具体性と精度を持たせることができます。

5.アンケート結果の集計・分析

次はアンケート調査で回収したデータの集計・分析を行います。

まずは、すべての回答を正確に集計し、集計ミスや重複、極端な偏りがないかを確認することが重要です。
その上で、調査の目的に沿って、回答をさまざまな角度から分析しましょう。

例えば、属性別の傾向を比較したり、複数の質問結果を組み合わせて読み解いたりすることで、より深い洞察が得られる場合があります。

最終的には、読み手にとってわかりやすく、説得力のある結果にまとめることが、調査リリース全体の価値を高めるポイントです。

6.調査結果のグラフ作成

調査で得られた結果は、グラフ化することで読み手に視覚的に伝わりやすくなります。
内容に応じて、円グラフや棒グラフなど、適切な形式を選んで活用しましょう。

■円グラフ

円グラフは、構成比や割合を視覚的に示すのに適したグラフ形式です。
各項目の比率を直感的に把握できるため、読者の理解を助ける効果があります。

ビジュアルとしても印象に残りやすく、見出しや要約の補足資料として活用しやすい点もメリットだと言えるでしょう。

■棒グラフ

棒グラフは、複数の数値を比較したり、時間の経過による変化を示したりするのに適しています。

縦軸・横軸を活用してデータを整理することで、項目ごとの違いや傾向を一目で把握できるため、調査結果をより説得力のある形で伝えられるのがメリットです。

属性別の比較や推移分析など、幅広い用途に対応できる汎用性の高さも魅力だと言えるでしょう。

7.原稿作成

集計・分析した調査結果を元に、プレスリリースの原稿を作成します。まずは、タイトルやリード文で読み手の興味を引きつけることが重要です。

その後、調査を実施した背景や目的を明確にし、結果を具体的かつわかりやすく伝えましょう。
結果に対する考察や今後の展望も含めることで、調査リリース全体の説得力が高まります。

文章では、難しい専門用語を必要以上に使わず、誰にでも理解しやすい表現を心がけることが大切です。
情報のわかりやすさを追求し、読み手に価値ある内容を届けられるよう工夫しましょう。

8.配信する

調査リリースの原稿が完成したら、いよいよメディア関係者や関係先に向けて情報を配信します。

リリースの成果は、配信先の選定や配信のタイミングによって大きく左右されるため、あらかじめ戦略的に計画を立てておくことが重要です。

■調査リリースの配信先

自社の業種・業界に関連するメディアや、プレスリリース配信サービス、SNSなど、複数の媒体を活用して情報を届けましょう。
特にターゲットとする読者層にリーチできる媒体を優先的に選定することで、より高い効果が期待できます。

■調査リリースを配信するタイミング

調査結果が注目されやすい時期や、業界の最新トレンドなどに合わせたタイミングで配信することが重要です。
競合他社の動きや話題のニュースにタイミングを合わせることで、メディアに取り上げられる確率が高まります。

調査リリースのよくある質問

ここでは、調査リリースのよくある質問とその回答を紹介します。

Q.調査リリース作成の注意点は？

調査リリースを作成する際には、以下のようなポイントに注意することが重要です。

■調査の目的を明確にする

「なぜこの調査を実施したのか」「何を明らかにしたいのか」といった目的を明示することで、読み手に調査の意図が伝わりやすくなります。

■偏りのない調査結果であることを示す

調査対象、調査方法、実施時期、回収数などを具体的に記載し、調査結果の信頼性や客観性を担保しましょう。

■客観的な資料として活用できる情報を含める

主観的な意見や誇張表現は避け、事実や数値に基づいた内容を中心に構成することが大切です。
読み手にとって、信頼できる情報として受け取られるよう意識しましょう。

■専門用語には簡潔な補足を加える

業界内では通じる専門用語でも、一般消費者にとっては馴染みがないことが多いです。
必要に応じて簡潔な補足説明を加えると、理解されやすくなります。

■グラフや図表はシンプルさや見やすさを優先する

視覚的な資料は読み手の理解を助ける重要なツールですが、情報を詰め込みすぎると複雑化し、かえって混乱を招くことがあります。
必要なポイントが一目でわかるよう、シンプルなデザインを心がけましょう。

Q.調査リリースに必要な調査人数は？

調査に必要な人数に明確な基準はありませんが、信頼性のあるデータとして活用するためには、一定の回答数が必要です。
一般的に、全国規模の調査であれば300〜1,000名程度を目安とするケースが多く見られます。

ただし、必要なサンプル数は、調査の目的や対象の属性（性別・年代・地域など）によって異なります。
重要なのは、収集したデータが「全体の傾向をある程度反映している」と判断できるかどうかです。
こうした点を踏まえ、目的に合った適切なサンプル数を設定して調査を進めましょう。

まとめ

今回は調査リリースの目的や効果、配信までの具体的な流れについて解説しました。

調査リリースは、企業の信頼性や専門性を効果的にアピールできる広報手段です。
ただし、読み手から信頼を得られる内容に仕上げるためには、調査の設計段階から情報の伝え方まで、細やかな配慮が欠かせません。

今回の記事で解説したポイントや作成の流れを参考に、正確かつ伝わりやすい調査リリースの作成にぜひお役立てください。