企業や団体が、新たな取り組みや製品・サービス、イベントの開催情報などを広く発信する手段として、プレスリリースは欠かせない存在です。
しかし、単に情報を詰め込んだだけでは、メディアや読者の関心を引くことはできません。
そこで本記事では、プレスリリースを書く際と配信する際の注意点を詳しく解説します。
これからプレスリリースの作成・配信を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
プレスリリースを書く際の注意点
プレスリリースは、企業や団体が新商品やサービス、イベント、取り組みなどを、社会やメディアに向けて発信するための公式な文書です。
ただし、作成にあたってはいくつかの基本的な注意点があり、内容や表現に十分な配慮が求められます。
特に初めて作成する場合には、「広告との違いは何か」「どこまでの表現が許されるのか」といった点で、判断に迷うことも少なくありません。
そこでまずは、プレスリリースを書く際の注意点について詳しく解説します。
広告的な表現をしない
プレスリリースは、あくまでも報道機関に向けた情報提供の手段です。
広告とは目的が異なるため、過度に広告的・主観的な表現は避けるように心がけましょう。
例えば、「今なら〇〇をプレゼント!」「読者様限定の特別価格!」といったキャッチコピー風の表現は広告的とみなされやすく、メディアから敬遠される可能性が高いです。
プレスリリースでは、事実に基づいた中立的な情報を伝える姿勢が求められます。
企業側の意図を正しく世の中に届けるためにも、表現は冷静かつ簡潔にまとめることが基本です。
客観的な根拠のない最上級表現をしない
「日本一」や「世界で最も注目されている」など、根拠のない最上級表現は避けましょう。
これらの言葉はインパクトがありますが、裏付けがない場合、信頼性を損なう原因となります。
プレスリリースでは客観性や信頼性が重視されるため、誇張表現は控え、具体的なデータや実績に基づいた内容を記載することが重要です。
根拠の曖昧な表現は、メディア側の掲載判断に悪影響を及ぼす可能性があるため注意しましょう。
ただし、「累計10万個を販売!」や「〇〇アワード2025で最優秀賞を受賞」といった、客観的な数値や実績に基づく事実であれば、タイトルや本文に積極的に盛り込んでも問題ありません。
むしろ、こうした裏付けのあるデータはニュースバリューを高め、記事化されやすくなります。
情報解禁日に気をつける
プレスリリースには、情報解禁日を設定することがあります。
これは、報道機関がその日時より前に情報を公開しないようにするためのルールです。
もし誤って解禁日前に情報が公開されると、信頼を損なうだけでなく、社内外に混乱を招く恐れがあるため注意しましょう。
解禁日を設定する場合は、プレスリリースの冒頭に「本件の解禁は〇月〇日〇時です」とわかりやすく明記してください。
情報に間違いがないか確認する
プレスリリースに記載される情報は、企業の正式な発表とみなされるため、事実に誤りがあればメディア関係者や読者の信頼を大きく損なうおそれがあります。
商品名や価格、日程、URL、連絡先などの基本情報は、複数人で入念にチェックし、誤記がないよう細心の注意を払いましょう。
プレスリリースは、万が一間違いがあっても訂正が難しく、情報が一人歩きしてしまうリスクもあります。こうした事態を避けるためにも、事前の確認を徹底することが重要です。
社内用語・専門用語・難しい言葉を極力使わない
報道機関の記者や一般読者に正しく伝わる文章にするためには、専門用語や社内用語、難しい表現は極力避けましょう。
特に初めてプレスリリースを出す企業にありがちなのが、業界内でしか通じない言い回しや略語を使ってしまうことです。
文章を作成する際は、必ず「誰が読んでも理解できるか?」という視点で文面を見直し、必要に応じて注釈を付けることも検討しましょう。
どのような立場の人が読んでもわかりやすく書くことが、情報の拡散力を高めるポイントです。
報道内容はコントロールできない
プレスリリースを配信したからといって、その内容が必ずしもそのまま報道されるとは限りません。
メディアは独自の判断で情報を取捨選択するため、自社の意図とは異なる切り口で紹介される可能性もあります。
そのため、「こう報じてほしい」といった意図があっても、報道内容をコントロールすることはできません。この前提を理解した上で、文章を作成する際には誤解を生みにくい構成や表現を心がけましょう。
報道はあくまでも“第三者の視点”によるものであることを、常に意識することが重要です。
プレスリリースを配信する際の注意点
作成したプレスリリースは、配信されてはじめて広報活動としての役割を果たします。
しかし、やみくもに送るだけでは、期待するような成果は得られません。
「どのメディアに、どのタイミングで届けるか」といった判断によって、情報の伝わり方や反響に大きな差が生じるため、配信の戦略は作成と同じくらい重要です。
ここでは、プレスリリースを効果的に配信するための注意点について、詳しく解説します。
プレスリリースの内容に沿ったメディアを選ぶ
プレスリリースを配信する際は、「誰に届けたい情報なのか」を明確にし、内容に合ったメディアを選定することが非常に重要です。
例えば、新作コスメの発表であれば美容系メディア、BtoB向けのサービスであれば業界専門誌など、対象に応じた送り先を選ぶことで、掲載される可能性が高まります。
逆に対象を絞らずに一斉送信してしまうと、記者にとって関係のない情報と判断され、スルーされてしまうこともあるため注意が必要です。
配信にあたっては、メディアごとの特徴を把握し、内容との親和性を基準に送り先を選ぶようにしましょう。
送付先のメディアに合わせて適切な方法で送付する
プレスリリースの送付方法には、メール、FAX、郵送、配信代行サービスなど、さまざまな手段があります。
しかし、メディアごとに好まれる送付方法は異なるため、事前に確認しておくことが望ましいです。
特にメールで送付する場合は、件名や本文の書き方に工夫が必要で、記者の目に留まりやすい構成が求められます。
一方的に一斉送信するのではなく、相手のスタイルに合わせた丁寧な送付を心がけましょう。
こうした配慮は、今後の信頼関係を築く上でも大切な一歩となります。
配信するタイミングを意識する
プレスリリースの配信タイミングは、掲載の可否やメディアへの露出に大きく影響します。
例えば、週明けや週末、月末は記者の業務が立て込みやすく、リリースが埋もれてしまう可能性があるため、避けたほうが無難です。
配信を行う際は、火曜〜水曜の10時〜15時ごろなど、反応が得られやすい時間帯を意識しましょう。
この時間帯は、記者がメールチェックをしやすく、情報を把握してもらえる可能性が高まるためです。
問い合わせの急増に備えておく
プレスリリースを配信すると、メディアや一般読者、取引先からの問い合わせが急増することがあります。
特に反響の大きいテーマの場合、準備が不十分だと対応が追いつかず、社内外に混乱を招く恐れがあるため注意が必要です。
問い合わせ用のメールアドレスや電話番号を明記するのはもちろん、社内での連携体制や広報担当の対応方針を事前に整えておきましょう。
プレスリリース配信直後は、想定以上の反応が寄せられることもあるため、心構えと準備が不可欠です。
まとめ
今回は、プレスリリースを作成する際と配信する際の注意点について解説しました。
プレスリリースは、企業の情報を効果的に伝えるための重要な広報ツールです。
作成時には、広告的な表現や根拠のない最上級表現を避け、情報の正確性と客観性を重視しましょう。
また、配信時には、内容に合ったメディアの選定、送付方法やタイミングの工夫、問い合わせ対応の準備をすることが重要です。
これらのポイントを押さえることで、プレスリリースの効果を最大化し、企業の信頼向上や認知拡大につなげることができます。
ぜひ本記事を参考に、効果的なプレスリリース作成に取り組んでみてください。