プレスリリースは、企業の情報発信において欠かせない手段です。
しかし、「同じ内容のプレスリリースを何度も配信してよいのか?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、プレスリリースを同じ内容で繰り返し配信できるかどうか、複数回配信が可能なケース・注意点などについて解説します。
広報活動の成果を最大化するためにも、正しいプレスリリースの配信方法を、今一度見直してみましょう。
プレスリリースを同じ内容で何度も配信するのはNG?
基本的に、同じ内容のプレスリリースを繰り返し配信することはNGです。
プレスリリースは「新しい情報を伝える公的な文書」であり、新規性のない再配信にはニュースバリューがありません。
そのため、メディアや読者に不必要な負荷をかけ、企業の信頼を損なう恐れがあります。
ただし、新情報の追加や切り口を変えるなどの工夫があれば再配信も可能であり、一概にNGとは言い切れません。
広報活動では内容の新鮮さや伝えるタイミングが重要で、同じ内容を繰り返すのではなく、情報に価値を加える努力が求められます。
こうした配慮がメディアとの良好な関係構築につながり、企業の信頼維持にも欠かせません。
複数回配信できるケース
前項で解説した通り、基本的には同じ内容のプレスリリースを繰り返し配信することは避けるべきですが、情報に新たな動きや追加要素がある場合は例外です。
特にニュース性が高まり、メディアや読者にとって価値が増すような更新があれば、同じテーマでも再配信が許容されるケースがあります。
ここでは、同じ内容のプレスリリースを複数回配信できるケースを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
キャンペーンやイベントの新情報がある場合
キャンペーンやイベントに関して、新たな出演者の決定や特典の追加、会場の拡大などの新情報が発生した場合は、同じテーマでも再度プレスリリースを配信することが可能です。
初回のプレスリリースを「予告編」、2回目以降を「本編」や「続報」と位置づけて段階的に情報を届けることで、メディアに取り上げられやすくなります。
ただし、前回のリリースとほぼ同じ内容の場合は配信を控え、必ず各リリースに新たなニュース性を持たせることが大前提です。
追加情報がある場合
初回のプレスリリース配信後に詳細が確定した場合や、新たな情報、データ、写真素材などが追加された場合も再配信は可能です。
例えば、サービスの仕様が明確になったり、関係者からのコメントが加わったりすると、情報の価値が高まり、メディアにとっても有益な内容となります。
ただし、それを「補足情報」として扱うべきか、「別のプレスリリースとして発信すべきか」は慎重に判断しましょう。
全体の構成や見出しを工夫して、初回との違いを明確にすることが重要です。
長期プロジェクトの進捗や成果発表がある場合
長期にわたるプロジェクトの場合、進捗状況や成果を段階的に伝えるプレスリリースは非常に効果的です。
例えば、開発中の製品が試作段階を終えた、実証実験で一定の成果が確認された、ユーザー数が目標を上回ったといった節目ごとの情報を発信することで、継続的に話題を提供できます。
重要なのは、前回の発信内容との違いを明確に示すことや、その成果・変化にニュースバリューがあるかどうかを見極めることです。
同じテーマであっても、視点や切り口を変えた内容であれば、複数回の配信が可能となります。
注意点
同じテーマであっても工夫次第で複数回プレスリリースを配信できるケースはありますが、どのような状況でも許されるわけではありません。
むしろ、配信の仕方を誤ると逆効果になることもあるため注意が必要です。
ここでは、同じ内容のプレスリリースを複数回配信する際の注意点について解説します。
新規性がないプレスリリースの配信
新しい情報が一切ないまま、過去と同じ内容を繰り返し配信することはNGです。
メディアや読者にとって既出の情報を再び受け取ることは、単なるノイズと捉えられてしまう恐れがあります。
また、配信プラットフォームによっては重複コンテンツと判断され、掲載対象から除外される可能性もあるでしょう。
そのため、プレスリリースを再配信する際は、新たな事実や変化点、視点の追加など、ニュースバリューが十分にあるかどうかを慎重に見極めることが重要です。
他の配信会社で同じ内容のプレスリリースの配信
異なる配信会社を利用して、同じ内容のプレスリリースを何度も配信する際は注意が必要です。
配信先のメディアが重複している場合、結果として同じ記者に同じ情報を繰り返し届けることになり、不信感を抱かれる恐れがあります。
たとえ配信先が異なっていても、内容がまったく同じであれば、メディア側に重複配信と判断されてしまう可能性もあるため、十分に配慮しましょう。
タイミングをずらして同じ内容のプレスリリースを配信
「さらに多くのメディアにも情報を届けたい」
「時期を変えれば反応があるかもしれない」
このような理由で、同じプレスリリースをタイミングをずらして配信するケースもありますが、これにも注意が必要です。
内容が変わらないまま繰り返し配信すると、スパムと受け取られる恐れもあり、メディアとの信頼関係を損なう可能性があります。
再配信を行う際は、前回との違いや追加情報を明確にし、再配信の意図や背景を補足するなど、受け手への配慮を忘れないことが重要です。
同じ内容のプレスリリースを複数回配信するメリット
ここまで解説してきた通り、プレスリリースを複数回配信する際には慎重な判断が求められます。
新規性がないまま繰り返し配信を行えば、メディアに悪印象を与えるリスクがあるため注意が必要です。
しかし、適切に情報をアップデートしながら配信すれば、広報活動の効果を高められる場合もあります。ここでは、同じ内容のプレスリリースを複数回配信するメリットを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
ただし、前項で解説してきた注意点を踏まえて配信することが大前提となります。
認知度が高まる
同じテーマやネタであっても、プレスリリースを複数回に分けて発信することで継続的な露出が期待でき、認知度の向上にもつながります。
特に新商品やイベントなど、一定期間注目を集めたい情報の場合は、1度の発信だけでは十分に伝えきれないことも少なくありません。
情報のフェーズごとに内容を小出しにしたり、アップデートを加えたりしながら繰り返し発信することで、記者や読者の記憶に残りやすくなります。
記事になる可能性が高まる
1回目の配信でメディアに見落とされたとしても、2回目や3回目の配信で目に留まり、記事として取り上げられる可能性は高まります。
また、忙しいメディア関係者にとっては、同じテーマの情報が繰り返し届くことで、”重要な情報”として認識されやすくなる場合もあるでしょう。
ただし、内容がまったく同じままでは逆効果になりかねないため、追加情報を加える、切り口を変えるといった工夫が不可欠です。
異なる属性に情報が届く
プレスリリースは、同じ内容でもメディアやターゲットによって受け取られ方が異なるものです。
複数回に分けて配信することで、初回とは異なる業界メディアや、別の読者層にリーチできる可能性が広がります。
媒体ごとに注目する部分や関心の傾向が異なることを意識しながら、配信内容を少しずつ最適化していくことが、広く情報を届けるためのポイントです。
配信の最適なタイミングは?
同じテーマで複数回プレスリリースを配信する場合、内容に加えてタイミングも重要なポイントになります。
このタイミングを誤ると、情報が埋もれてしまったり、逆に連投と受け取られてしまうリスクもあるため注意が必要です。
ここでは、同じ内容のプレスリリースを複数回配信する際の最適なタイミングについて解説します。
新製品・新サービスのプレスリリース
新製品や新サービスのリリースでは、事前告知だけで終わってしまうことが多いですが、より効果的な広報活動には段階的な情報発信が欠かせません。
発売前には製品の概要を配信し、記者発表会の取材案内や発表の詳細を順次配信することで、メディアの注目を高めることができます。
さらに、発売後にはCM放映の開始や消費者向けキャンペーンの告知、生産・販売実績の報告といったプレスリリースを、タイミング良く配信しましょう。
また、製品のリニューアル情報をタイムリーに伝えることで、話題性を持続させることも可能です。
展示会・イベント・施設・店舗オープンのプレスリリース
展示会やイベント、施設や店舗のオープンについても、単なる事前告知にとどまらず、開催前のキャンペーン情報やプレス内覧会の取材案内、当日の様子を伝える詳細なプレスリリースを、タイミング良く段階的に配信すると効果的です。
さらに、開催後も来場者数の報告や反響をまとめた成果発表、新たに追加される施設やコンテンツ情報の発信など、適切なタイミングで継続的に広報の機会をつくることができます。
こうした多角的なアプローチにより、メディアや読者の関心を長期間維持できるでしょう。
まとめ
今回は、プレスリリースを複数回配信できるケースや、その際の注意点について解説しました。
同じ内容を何度も配信する場合に重要なのは、「新しい情報が含まれていること」と「読み手に配慮した伝え方」を徹底することです。
単なる繰り返しでは逆効果になる可能性があるため、毎回視点や内容に変化を加え、ニュースバリューを保つ工夫が欠かせません。
正しいタイミングと方法で配信すれば、認知拡大や記事化のチャンスにつながります。
本記事で解説したポイントを踏まえ、戦略的な情報発信によって広報効果を最大化していきましょう。